閑静な和室

日本的な「美」を凝縮したような映像、忘れていた「和」の心を思い出させてくれるようなナレーション、そして極めつけはBGMの「My Favorite Things」ですよ。このCMを見て猛烈に京都に行きたくなり、京都の大学に進学しました。

しかし人間とは身近にあるものに対しては貪欲にならないものなのです。京都に4年間も住んでいたのに、あんまり京都の寺めぐりなんてことをやんなかったんですよね。当時、もしあのCMを見ていたら、また心が揺らいで積極的に動いたかもしれないのですが、京都では「京都、行こう」のCMを見ることができないんですよ。そりゃあ、JR東海が関西の人に「新幹線で京都に行こう」なんてCM流すはずがないですからね。

で、大学を卒業して東京に出てきたわけですが、そうしたらまたあのCMを見ることができたのです。すると、ちょっと前まで京都に住んでいたのに、また「京都に行きたい！」なんて思わされちゃうんですよね。いやはや、すごい威力のCMですわ。

ということで、東京に出てきてからも年に一回は京都に行ってます。ここ最近はすごく頻繁で、仕事やらプライベートやら何やかやで、2ヵ月に一回ぐらいのペースで京都に行ってます。今月21日にも用事があるので、仕事がヘヴィにならない限りは行くつもりです。

ちなみに、僕が写真に興味を持ち始めたのは1997年から。ちゃんとした一眼レフカメラを購入したのは2002年。ということで、それ以降、京都に行くときは当然のことながらカメラを持って行き、すごくアグレッシブに写真を撮りまくります。京都に滞在できる時間は限られているので、一日5〜6ヵ所めぐって写真を撮るわけです。この積極性が大学時代にあれば...と悔やまれてならないのですが、人間なんてそんなものなんでしょう。

今回の写真は去年の10月のものです。京都・東山の安楽寺という寺です。哲学の道からちょっと山側に向かって歩いた閑静な場所にこの寺はあります。この部屋では参観者にお茶が振る舞われていたので、僕も落ち着いて一杯いただきました。そのときに撮ったのが今回の写真です。当時僕はまだテレビ業界でディレクターをやっていたので、毎日バタバタ過ごしていました。そんな中たどり着いたのがこの部屋です。余計なものが何一つない空間なわけです。最高の「癒し」の場を見つけたような気にさせられる、そんな寺でした。