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2006年4月11日
山の手めぐり
この前の日曜日、護国寺の写真を撮った帰り道。やはり歩いて家に向かいました。音羽と大塚の間の曲がりくねった路地を歩き続け、途中から目白台に向かって方向転回。急な坂道を上りながら古い洋館を見てまわります。入り組んだ路地を歩きながらたどり着いたのは「講談社野間記念館」。
これまで一度も門が開いているところを見たことがなかったのですが、この日は開いてました。いや、別に開かずの扉ってわけじゃないんですよ。ただ、僕が訪れるのは夜ばかりなので、単純に開館時間じゃなかっただけなのです。歩き続けて疲れていたので、ちょっと休憩でもしようと思い、野間記念館に入ってみました。
一つ断っておきますが、僕は「写真」は大好きですが「絵画」のことはほとんど何も知りません。ときどき「すごい」と思う絵もあるのですが、それが何だったか後になって思い出すことすらできないレベルです。そんな僕なので自分一人で美術館に行くことなんてかなり珍しいのです。
ちなみに野間記念館では明治時代からの講談社の雑誌表紙絵に使われた、近代で活躍した日本画家の絵画を展示していました。第一展示室には横山大観、竹内栖鳳、河合玉堂あたりの作品が並んでいました。どれも興味深い絵画ではあったのですが、おそらくここを出た後にどれだけの絵を覚えていられるかと言われると、アヤシイものがありました。ところが、絵の横に書かれていた解説に印象的なものがありました。横山大観が富士山を描いていたのですが、その解説文に大観本人が当時語ったコメントが記されていたのです。
「富士山を描いたものは多い。しかしただ形をまねるだけでは意味がない。形だけなら子どもでも描ける。富士山を描くということは己自信を描くということなのだ。明るいときは明るい富士が、落ち込んでいるときは落ち込んだ富士が描かれる。そのため、私は富士山を描くときはどんなときでも全身全霊で富士を描く」
...というようなコメントがあったのです。素晴らしいコメントです。日本人画家としての気質を感じますよね。僕なんて当然のことながら足下にも及ばないことはわかっているのですが、写真を撮影するときの心持ちと同じようなものを感じたのです。僕は写真を撮るとき「ただ写真を撮るだけなら誰でもできる。自分なりの味をそこに加えないと...」と思いながら日々撮影をしています。だからシャッター一枚切るのにかなりの体力を使います。安直な画角になってないか、写真の中に見る人に向かって語りかける何かがあるか。そんなことを頭フル回転させて考えながら写真を撮っているのです。このコメントで一気に横山大観が好きになり、すでに見終わった大観の絵画を改めて見直してまわりました。
そんな具合に絵を見るテンションが上がってきたそのとき、偶然にも僕が知る数少ない画家の絵画が展示されていました。それは東山魁夷。元々は好んで見ていたわけではないのです。そもそもの始めは僕が大学を卒業して最初に勤めた会社にあったのです。最初に勤めていた会社は日経新聞の子会社の映像制作会社だったのです。ところでみなさんは日経グループは社章って知ってますか?社章ってアレです。NTTだったらダイナミックループっていう二重丸みたいなのがあるじゃないですか。アレです。日経グループの社章は太陽樹というのですが、多分ほとんどの方が知らないのではないかと思われます。表だって使われることはありませんからね。今ではおそらく日経新聞の社内報や日経グループ社屋内にある喫茶店の名前としてしか使われていないのではないですかね。で、この太陽樹こそ東山魁夷がデザインしたものなのです。詳しいことはわからないのですが、なぜだか日経新聞と東山魁夷ってつながりが強いのですよね。その関係で僕が所属してた会社でも東山魁夷のビデオなんかを作っていて、作品に触れる機会が多かったのです。
そしてもう一人、作品そのものは見たことなかったのですが、その名前だけはよく耳にしていた画家の作品があったのです。それは「堂本印象」。僕と同じ大学の人は一瞬でわかってもらえると思うのですが、うちの大学の正門の真っ正面に「堂本印象美術館」というのがあったのです。あまりにも近くにありすぎて、在学中一度として訪れたことがなかったのです。今回初めて堂本印象の作品を見たのですが、これがビックリですわ。なんていうすごい絵を描くんでしょうね。鮮やかな色彩、緻密な構図。一目で彼の絵のとりこになりました。
いやー、ビックリしました。足休めのためにと思って入った美術館でこんな発見があろうとは思いもよりませんでした。本当だったら日記に絵画そのものをトラックバックしてコメントを書けたらベストなのですが、そんな機能はどこにもありませんし、勝手にどこかから絵画のファイルをひっぱってきたら一撃で著作権にひっかかるので、残念ながら現状手段がないもようです。
そんなわけで今日は講談社野間記念館の庭園にあった椿の写真です。多分椿だと思います。絵画と同じように花に関してもヒジョーにうといので、ホントに椿かどうか自信がありません。確か牡丹じゃなかったような気がします。野間記念館の庭にはテラスがあって、キレイな庭園を見ながらお茶を飲むこともできます。想像以上にくつろぐことができる場所なので、ヒマができたときにでも訪れてみてはいかがでしょう?
アップロード日時 : 2006年4月11日 00:03 撮影場所 : [ 文京区 ]
地図
撮影詳細情報
撮影情報 | |
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撮影場所 | 講談社野間記念館 |
撮影日時 | 2006年4月 9日 16:39 |
カメラ情報 | |
カメラ | Canon EOS 20D |
フォーマットサイズ | APS-C |
ISO感度 | 100 |
露出プログラム | 絞り優先AE |
露出補正 | -2/3EV |
露出時間 | 1/60秒 |
レンズ情報 | |
レンズ | EF24-70mm F2.8L USM |
焦点距離 | 70mm |
絞り | f/5.6 |