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2006年4月18日
恐怖の池袋物語-第1夜-
これまで様々な街をカメラ片手に撮影してきましたが、実は意識的に避けている街があるのです。それは池袋。プライベートでは2回しか行ったことがないのですが、なぜか仕事で頻繁に訪れていました。そのほとんどが、あの忌まわしき2001年、恐怖のAD時代です。ただ訪れるだけだったら僕も何とも思わないのですが、訪れるたびに常軌を逸した過酷な作業が待っていたため、もはや池袋は気軽に訪れる気すらなくなってしまった、ある種トラウマの街となってしまいました。しかし!この前の土曜日、あえて彼の地に足を踏み入れてみました。せっかく池袋を訪れて写真を撮りまくったので、今週は「恐怖の池袋物語」という特集を組んで、当時僕がいかに常軌を逸した日々を送っていた、文章に綴ってみることにしました。
第1夜目の舞台はサンシャインです。当時僕は「朝ごはん」というテーマで番組を作っていました。朝ごはんを食べないと一日まともに活動ができないといった内容だったのですが、その内容に付随する様々な実験を番組内で行うことになったのです。朝ごはんと言っても「ごはん」と「パン」では効果が違うのか?という話があり、これを実験により解明してみることになりました。
実験では、大学生10人に被験者になってもらい、5人には「ごはん」を、残りの5人には「パン」を食べてもらいます。その上でどちらのグループの方が体力的に持続するかを見てみることになったのです。体力をどのようにして見るのかということでけっこう悩んだのですが、一緒に番組を担当していたディレクターが...
「サンシャインを階段で上り下りさせたらいいんじゃない?」
「......」
ということで、サンシャインを1階から60階まで階段で上り下りしてもらい、3時間経過した時点での血中乳酸濃度を測定して疲労度合いを見てみることになりました。人間は疲れを感じるとき、血中乳酸濃度が上がります。これを疲労の指標と設定したのです。
実験当日の朝6:30、サンシャインに到着した僕はまず10人分の朝ごはんの用意を始めます。電子レンジとトースター、そして「ごはん」と「パン」を用意します。これらを事前にお願いしてサンシャインの建物の脇の場所を借りて、それぞれ速やかに温めていきます。
しばらくすると被験者になってくれる大学生10人が集まってきたので、建物の外で実験の設定カット用の舞台を作り始めます。作業はけっこう時間がかかるもので、なかなかセッティングが完了しません。基本的にディレクターは準備的なことは何もしないので、作業をするのは僕一人です。一人で10人分の食事を用意し、撮影場所のセッティングをするのはかなり大変です。それでもなんとか8:30にはセッティング完了。いよいよ撮影がスタートです。
説明用のカットを細かく撮影していき、大学生たちに朝ごはんを食べてもらいます。そして9:00からいよいよ階段の上り下りが始まります。実験では 9:00から12:00まで3時間、ひたすら階段を上り下りしてもらいます。被験者のみなさんは普通に歩いて階段を上っていくのですが、僕はその様子を撮影しなければなりません。こういう場面をテレビで見ると、歩いている姿を後ろから撮ったり、横から撮ったり、歩いている人のアップの表情があったりと、いろんなバリエーションの映像が何カットも重ねられています。当然このときも様々なカットを撮影しなければなりませんでした。ということはどういうことかというと、後ろ姿を撮影した後、ダッシュでみんなを追い抜き、歩いている人の前方から撮影しなければならないのです。言い換えると僕はサンシャインの1階から60階までを、3時間もの間ダッシュで上り下りしなければならないのです。
しかも!これだけでも厳しいのに、さらにもう一つミッションがあったのです。サンシャインのロケは昼すぎぐらいには終わるのですが、午後からのロケ地がまだ決まっていなかったのです。そのため、サンシャインでロケをやりながら次の撮影場所を仕込まなければならなかったのです。要するにサンシャインの階段でダッシュしながら携帯で次の撮影場所を仕込まなければならないわけです。右手でカメラを持ち、左手で電話をかけながら、サンシャインの階段をダッシュするわけです。実験の撮影とはいいつつも、もはや僕が「人間は追いつめられるとどのくらい力を発揮するか」という実験の被験者にされた気分でした。
テレビのADくんは過酷な扱いに耐えきれずにソッコー辞めていくなんて話を聞いたことあるかもしれませんが、さすがにこんなシチュエーションが続くと辞めたくなると思うでしょ。でも、最大限に追いつめられた人間というのは不思議なもので、逃げることよりもその場をなんとか終わらせることを考えるのですよ。そんなわけでホントに3時間もの間、ダッシュで階段を上り下りしてしまいました。
いや、ホント死ぬかと思いましたよ。そもそも2日ぐらいまるっきり寝てない状態で、カメラをまわしながら電話をかけつつサンシャインの階段を3時間ダッシュで上り下りですよ。ヘタしたら死にますよ。ホントに。追いつめられた人間の気力というのはあなどれないものだと思いました。
アップロード日時 : 2006年4月18日 00:44 撮影場所 : [ 豊島区 ]
地図
撮影詳細情報
撮影情報 | |
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撮影場所 | サンシャイン前交差点 |
撮影日時 | 2006年4月15日 16:33 |
カメラ情報 | |
カメラ | Canon EOS 20D |
フォーマットサイズ | APS-C |
ISO感度 | 100 |
露出プログラム | 絞り優先AE |
露出補正 | -1/3EV |
露出時間 | 1/1250秒 |
レンズ情報 | |
レンズ | EF24-70mm F2.8L USM |
焦点距離 | 17mm |
絞り | f/4.5 |