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2006年4月19日
恐怖の池袋物語-第2夜-
恐怖の池袋物語第2夜の舞台は池袋駅東口。当時僕は「まゆ毛」というテーマで番組を制作しており、人間のまゆ毛の意外な役割、まゆ毛の秘密などを番組で紹介すべく、様々な実験方法を探ってました。そんなあるとき、番組の冒頭で基本的事項として「人間のまゆ毛は何本あるのか」ということを紹介したいということになりました。こういうことはどこかの専門家に聞けば人間のまゆ毛の平均本数ぐらい調べることができるのですが、テレビではナレーションだけで「○○本でした」とだけ言っても説得力がないという事情があります。そこでディレクターは僕にこう言いました。
「お前、まゆ毛全部抜け。それ数えるから」
「......」
まるでマンガのような会話でしょ。でもこれが実話だからビックリしますよ。ということで、ホントに実験を行いました。川崎のとある美容室を貸し切って、美容師2人の方に協力してもらいます。2人の美容師が左右それぞれのまゆ毛を抜き、ボードの上に一本ずつ並べていくのです。その様子をずーっとカメラで撮影していきます。毛抜きで一本ずつまゆ毛が抜かれていくのですが、これが実に痛いのです。しかしディレクターは無情です。
「痛そうな顔してたら視聴者がひくから笑顔で抜かれろ!」
ムチャなこと言いますよね。でもそうせざるをえないので、痛みを我慢して笑顔でまゆ毛を抜かれました。そして抜かれること2時間、全てのまゆ毛が抜き終わりました。左右全部のまゆ毛を合わせて1223本ありました。しかし、話はここで終わらないのです。
まゆ毛は顔を構成する要素として非常に重要であり、まゆ毛がないと一種異様な感じに見えるというのを番組中で表現するため、さらに実験をすることになったのです。それは、まゆ毛のない人間が人の大勢いるところを歩き、周りの人たちがどういうリアクションをするか観察するというものです。その舞台に選ばれたのが池袋駅東口だったのです。
たくさんの人が行き交う土曜日の昼の池袋駅東口。僕らスタッフは車を降り、歩くルートを決めます。そしてスタッフ全員、かなり遠くでカメラをスタンバイ。僕は自分の意志でまゆ毛を全部抜いた普通の人という設定で、何事もないかのように人混みの中を歩いていきます。その様子と周囲の人のリアクションを遠くからカメラが撮影します。いやホントにかなり恥ずかしいですよ。すれ違う人みんな不思議そうな顔で僕の顔をのぞき込むわけですからね。
恥ずかしいながらもロケは終わったのですが、それでまゆ毛が生えてくるわけではありません。その後、違うテーマで番組を作る段階になると、またロケにも出なくてはいけません。行く先々で会う人みんな、僕のまゆ毛を気にしているのです。あえてまゆ毛のことを会話に出してきたりはしないのですが、みんな目線がかつてまゆ毛があった場所にクギ付けなのです。途中からめんどくさくなってきたので、新たに人と会うときは自分から「いやこれ、前に番組の実験で全部抜いたんですよ」とカミングアウトすることにしました。結局まゆ毛が元通りになるまで1ヵ月半もかかってしまいました。
しかしこのまゆ毛の一件、意外とオイシイと思えることもあったのです。当時僕は新しい会社に転職したてで、社内でいろんな人と会うものの、話をするほどの間柄じゃない人がたくさんいたのです。そんな中、僕がまゆ毛を全部なくした状態で会社に現れたので、これまで話したことない人からも声をかけられるようになったのです。言ってみればまゆ毛をなくすことによって、円滑な社内コミュニケーションがとれ、しかもひと笑いとれるというオイシイ事態になったのです。人生の中であえてまゆ毛を全部抜くシチュエーションなんてなかなか訪れないので、ある意味いい経験ができたと今では思います。でももう二度と抜きたくはないですけどね。
アップロード日時 : 2006年4月19日 00:57 撮影場所 : [ 豊島区 ]
地図
撮影詳細情報
撮影情報 | |
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撮影場所 | サンシャイン60通り |
撮影日時 | 2006年4月15日 16:27 |
カメラ情報 | |
カメラ | Canon EOS 20D |
フォーマットサイズ | APS-C |
ISO感度 | 100 |
露出プログラム | 絞り優先AE |
露出補正 | -1/3EV |
露出時間 | 1/800秒 |
レンズ情報 | |
レンズ | EF24-70mm F2.8L USM |
焦点距離 | 70mm |
絞り | f/5.0 |