2006年5月23日
切りとられた世界
実は昨日、東京大学の他にも何カ所かの場所をまわり写真を撮っていました。その中の一つが今回の写真の場所。小石川後楽園です。東京ドームのまとなりに位置します。これまでこの界隈は何度も行き来しているにも関わらず、一度も訪れたことがありませんでした。
都内には大規模な有料都立庭園がいくつもあります。新宿御苑、六義園、浜離宮などなど。どの場所にも共通して言えるのは、庭園の外と内では時間の流れ方が明らかに違うということ。外の世界ではすごくめまぐるしく時が流れているのに対して、庭園の中では非常にスローな時間感覚がその場全体を支配しています。例えば新宿駅東口のアルタの目の前にある広場には、とりあえず座ることができる場所がありますが、ここでゆっくり本を読もうなんて考えることすらありません。でも庭園の中ではついついベンチに座って目の前にある池を眺めたり、本を読んだり、木々のふれあう音に耳を澄ませたりと、時間をゆっくり使いたい気持ちにさせられます。そう考えると、普段僕らはどれだけがんばっても、東京特有のめまぐるしいスピード感の渦に巻き込まれて生活していることがわかります。
ちなみに以前、何かの写真をアップしたとき「窓」によって切り取られた風景というのは肉眼で見る風景と全く違って見えるという話を展開したことがあるのですが、今回の写真もある意味で「窓ごしの風景」と同じ意味合いがあるような気がします。街中を歩いていると、実はいろんな形のモノがあって、その間から見える風景というのは肉眼で見る風景とはまるっきり違うもののように見えるんですよね。
例えば今日の写真。何もない状態で見たら、女性がベンチに座って本を読んでいるだけの風景ですが、今回のような灯籠のスキマから見てみると、何やら別世界の出来事のようにすら見えてしまいます。街中を歩いているときでも、「街路樹の枝の間から見える風景」「張り巡らされた電線の間から見える空」「背の高いフェンスのスキマから見える川」など、手前側を何かで遮られた状態の、さらにその奥に見える風景というのは、不思議と特別な風景に見えてしまうものです。みなさんも街を歩くとき、だまされたと思って何かに囲まれた部分の風景を見てみてください。そうすると、見慣れた風景が一瞬にして非日常の世界に見えると思いますよ。
アップロード日時 : 2006年5月23日 00:46 撮影場所 : [ 文京区 ]
地図
撮影詳細情報
撮影情報 | |
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撮影場所 | 小石川後楽園 |
撮影日時 | 2006年5月21日 14:45 |
カメラ情報 | |
カメラ | Canon EOS 20D |
フォーマットサイズ | APS-C |
ISO感度 | 100 |
露出プログラム | 絞り優先AE |
露出補正 | -1/3EV |
露出時間 | 1/50秒 |
レンズ情報 | |
レンズ | EF70-200mm F2.8L IS USM |
焦点距離 | 70mm |
絞り | f/3.5 |