2006年5月28日
東洋的美意識
以前の日記でさりげなく書いたことがあるのですが、僕は天気の仕事をしています。具体的にはインターネットの天気サービスの企画を立てるのがメインの仕事です。そういう仕事ですから、自分が担当しているサービスは頻繁に見ます。どこかにトラブルが発生してたりしないか。天気情報の配信が遅れてたりしないか。そういう目線で天気サービス内のいろんなページを見ます。
昨日、いつものように天気のページを見ていると、ふと「豆知識」のコーナーが目につきました。天気がらみの豆知識をまとめているページで、日によってピックアップされる情報が変わります。その日は「紅一点」という言葉がピックアップされていました。
「紅一点」とはよく聞く言葉ですが、そもそも「紅」とは何のことを指すのか。そのことが詳しく書かれていたのです。そもそも紅一点とは中国の詩人が詩にした言葉から生まれたものらしく正式には「万緑叢中紅一点 動人春色不須多」という漢詩の一部らしいのです。要するに、一面緑の世界の中で一つだけ紅色のものがあるという、そういうシチュエーションだけで人は心が動かされるものだということを言っているのです。で!この「紅」というのはどうやら「ザクロ」の花のことを言っているらしいのです。
ということでザクロを撮影しに行ってきました。ザクロと言ってもどこに行けばそんなマニアックな花が咲いているのかサッパリわかりません。でも、花を探すには、都内にはいい場所があるのです。それは「小石川植物園」です。東京大学理学部附属の植物園なのですが、ここにはありとあらゆる植物があり、一年を通して楽しむことができます。ウェブで調べてみたらザクロの花は今がシーズンとのこと。そして小石川植物園にもザクロはあるらしいことがわかりました。そんなわけで、勇んで植物園に出かけました。
ところが今日はみなさんご存知の通り、あいにくの雨。でもそんなことは全く気にしません。そもそも花を撮影するのであれば、多少雨が降っていた方が花びらに水滴がついていたりして、色っぽい写真になったりするものなのです。そんなわけで、何も考えずに植物園に行ったのですが、その考えはヒジョーに甘かったです。というのも、僕は写真を撮影するとき、例え雨が降っていてもよほどのことがない限り傘をさしません。傘をさすと動きが制限され、かつ荷物も増えてジャマになるため、かなりめんどくさいことになるのです。今日もいつも通り傘をささずに植物園の中をウロウロしていたのですが、雨がハンパじゃなかったんですね。一言でいうならばびしょ濡れです。カメラ本体にはタオルをかけていたので、直接濡れることはなかったのですが、僕自身はびしょ濡れです。
そんな悲惨な状態ではあったのですが、ザクロ自体はちゃんと撮ることができました。それが今日の写真です。ザクロって僕の勝手なイメージでは、もっと濃い「赤」だと思っていたのですが、そもそも紅一点と言うだけあって「紅色」なんですよね。確かにオレンジよりちょっと赤に近い「紅色」でした。
ザクロは木になる花なので、まわりにたくさん花が咲いていて「紅一点」どころかいたるところに紅が広がっていたので、「紅一点」らしさを感じることはできなかったのですが、でもかつて中国でこの花を見て詩を読んだ人の気持ちもわからないではない気もしました。ザクロの花の色合いはすごく東洋的なんですよね。バラみたいにクッキリした赤色というものはすごく西洋的な雰囲気ですが、ザクロのように淡い色遣いにこそ東洋的な美しさが隠れているのではないかと考えてみました。とは言っても、そんなことを考えるスキもないぐらい激しい雨にはさすがに弱りましたけどね。
アップロード日時 : 2006年5月28日 01:14 撮影場所 : [ 文京区 ]
地図
撮影詳細情報
撮影情報 | |
---|---|
撮影場所 | 小石川植物園 |
撮影日時 | 2006年5月27日 15:44 |
カメラ情報 | |
カメラ | Canon EOS 20D |
フォーマットサイズ | APS-C |
ISO感度 | 100 |
露出プログラム | 絞り優先AE |
露出補正 | -1/3EV |
露出時間 | 1/5秒 |
レンズ情報 | |
レンズ | EF70-200mm F2.8L IS USM |
焦点距離 | 200mm |
絞り | f/13 |