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2006年6月19日
後世に残る街並み
昨夜からけっこうな量の雨が降り始め、今日も依然として止む気配なく降り続いていました。そんな中、いかなる場所を撮影するのがよいのか、かなり悩ましいところです。ということで今日訪れたのは新宿の「思い出横町」です。
「思い出横町」、またの名を「ションベン横町」というこの一帯は戦前から続く一杯飲み屋街。これまで何度もカメラを持って西新宿をウロウロしましたが、ここだけはどうにも撮影する機会がないまま今に至っていました。というのも、この一角だけはあまりにもディープなため、カメラを持ってここに立ち入るのが怖かったのです。というのも、かつてテレビの取材で思い出横町と似たテイストを持つ、大阪の新世界をウロウロしているとき、何も撮っていないのにそこらのオッサンたちからからまれ殴られたことがあるのです。
テレビの撮影現場でこういったトラブルが起こったとき、まずは出演者を逃がします。同時に、カメラマンはカメラからテープを抜き、カメラアシスタントに渡してその場を離れさせます。出演者に被害が及ばないようにし、撮影したテープが破損することを防ぐためです。撮影現場では他の何よりも撮影済みのテープが重要です。最悪カメラは壊されて数千万円の損害が出たとしてもまた同じものを買うことはできます。でも撮影した内容は二度と撮り直せない可能性もあるのです。そんなわけで、そのときもセオリー通りカメラアシスタントがテープを持ってその場を走り去って行きます。続いてカメラマンがダッシュで逃げます。その間僕ら制作スタッフは何をしているかというと、テープやカメラを持ってみんなが立ち去る間、からんできたオッサンの気をこちらに引きつけておかなければならないのです。要するに殴られてなければならないわけです。一通りオッサンとやりとりをしていると、後から後から他のオッサンたちが寄ってきました。そしてなぜだかオッサンたちの間で諍いが始まってしまったのです。辺りはわけのわからない緊張感に包まれはじめました。そんな一瞬をついて、僕とディレクターは「今だ!」と走ってその場を立ち去ったのです。
というようなことがあったので、何やら同じような雰囲気を持つ「思い出横町」にはどうにもこうにも立ち入り難いものがあったのです。しかし今日はあえて突入してみました。カメラを持たない状態では何度か通り過ぎたことはあるのですが、カメラを持って入るのは初めてです。ということで、意を決して撮影したのがこの一枚です。昔ながらの飲み屋街の雰囲気を生かすため、あえて暗めに撮影してみました。入り組んだ細い路地によって構成されるこの地域。戦後の時代を色濃く残すこの一角はできることならこの先も形を変えることなく、昭和の時代を後の世に伝えてほしいものです。
アップロード日時 : 2006年6月19日 00:09 撮影場所 : [ 新宿区 ]
地図
撮影詳細情報
撮影情報 | |
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撮影場所 | 思い出横丁 |
撮影日時 | 2006年6月18日 17:09 |
カメラ情報 | |
カメラ | Canon EOS 20D |
フォーマットサイズ | APS-C |
ISO感度 | 800 |
露出プログラム | 絞り優先AE |
露出補正 | -1/3EV |
露出時間 | 1/200秒 |
レンズ情報 | |
レンズ | EF24-70mm F2.8L USM |
焦点距離 | 68mm |
絞り | f/3.2 |