探し求めた風景

このように写真雑誌から他人が撮影した作例ばかりを見ている僕ですが、中にはすごく気になる写真をみかけることもあります。以前、夜景撮影について取り上げた内容の記事を見ているとき、作例としてすごく印象的な場所の写真が掲載されていたのです。それこそまさに今日、僕がアップしている写真の場所なのです。その記事には「遠くに見える新宿の明かりが・・・」なんていう文章があったので、中野か、落合か、もしくは初台あたりかと思っていたのですが、どこだか全く知るすべがなかったのです。でもこの光景はとても興味深い。なんとかして探せないものかと思っていました。そんなあるとき、地図のアルプス社が提供しているサイトを見ているとき、ふとこの場所の写真を目にすることがあったのです。そのサイトとはALPSLABというアルプスの実験的サイトで、アルプス社の地図にブログのエントリーやflickrの写真をプロットすることができる機能があるのです。多くの写真がプロットされた地図をグリグリ見ていると、ふとこの場所の写真が現れたのです。場所はどこだ！？と思い、よくよく見てみると、驚いたことにうちのすぐ近くだったのです。しかもときどき近くをウロウロしている場所です。灯台もと暗しとはまさにこのこと。すぐにカメラ機材一式をかついで、徒歩で現場に向かいました。この場所の名前は「富士見坂」という場所で、その名の通りかつて坂の上から富士山が見えた場所なんだろうと思われます。ここで撮影したのが今日の写真です。

撮影して自宅に戻り、元々この場所の写真が掲載されていた雑誌と自分が撮影したものを見比べてみたのですが、これがまた見事なまでに方向性が違っててビックリしました。僕はしばらくこの雑誌を見てなかったので、どのような感じで作品作りをしていたのかスッカリ忘れていたのです。僕はこの場所を自分の目で見たとき、二手に分かれていく道の広がり具合がおもしろいと思ったのですが、雑誌の方ではむしろ路地の狭さ、密集感を表現していたのです。まさに人の感覚は千差万別というのを感じた瞬間でした。目に見えるものは全く同じものなのに、その風景を見て感じることは人それぞれ全く違うものです。こういうことがあるからこそ他人が撮影した写真を見るのって楽しいんですよね。